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2009.04.06 Monday | - | - | -
SUIKA夜話 in OSAKAを観て来ました


「隣に居る君くらい幸せにしようよ」

そんな暖かな言葉が飛び跳ねて、頬を撫でるかのように美しい音楽が幸せな気持ちにしてくれた。”SUIKA夜話 in OSAKA”とても良いライブでした。やはり音楽というのはポジティブな気持ちに溢れ、音を楽しませることが出来るかどうかに尽きる。家で聴く音楽も良いけれど、自分を表現しようと懸命になっているアーティストの息吹を、直接感じることが出来る生の臨場感は格別だ。

2007年最も魅了してくれたアーティストである小林大吾のパフォーマンスを体感出来て、この上もないくらいに心が打ち震えた。素朴な外見とは対照的に、スラリと長い手足が掴んだステージ上で、マイクスタンドを持つ手は大きくてセクシーだった。美しい言葉を流暢に吐き出す独自のポエトリーラップは、何者にも遮断されることなく鼓膜に飛び込んできた。『ガーゴイルの言いかけたこと』、『饗宴 eureka』、『三角バビューダの大脱走』といった曲が続き最後はSUIKAメンバーとのセッションによる『手漕ぎボート』で締められた。う〜ん、やっぱり大好きだこの人。

そんな憧れの存在も、売り子としてCD販売をしていたので基本押し殺しているミーハー精神を、小さなオチョコになみなみと注ぎ込んで猛烈アピール。ツーショット撮っていただきました。COMPASSもご存知だったので次回会うことがあれば図々しく話かけたいと思う。幸せな一時!

メインであるSUIKAのカッコいいライブは、想像以上に素晴らしかった。新作「カッコいい」は珍しくCD購入していたものの、正直そこまでハマりきれていなかった。だけど、このハッピーな気持ちにさせられる程に楽しくて、楽しくて、自然と身体が揺れて、子供までもが無邪気に音楽を堪能する時間の過ごし方は。音楽ってこういうものだと思った。ライブってこうあるべきだと思った。10回に1回くらいしか心から楽しめたと言えるイベントは残念ながら無くて、何となく疲れたという感情だけをポケットに詰め込んで、胃袋に流れたお酒と戦うような明け方の帰り道はないかい?

ATOMの自由奔放に身体と共に表現するラップ、タケウチカズタケの豪快なまでに音を構成するウーリッツァ、高橋結子のシンプルなビートを刻み続けるパーカーッション、totoの母性と色気にまみれた癒しのポエトリー、タカツキの吟遊詩人としての空気を放ち続けるウッドベース+ラップなどなど…個性溢れるアーティストが進化系のセッションを続けるSUIKAというバンドの可能性は、日本語ラップという生態系の中で括るには、あまりにも狭すぎる。音楽そのものが共通言語であるような、言葉の壁を通り越して魅了するようなチカラ。SUIKAにはそんなチカラとエネルギーに溢れている。


ホントにSUIKAは…カッコいい!!!


文:洋平
2008.06.15 Sunday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -
レイ・ミステリオ・フロウJrの物申す!! 第1回


俺だこのやろう!ティム・ダンカンこのやろう!

日本語ラップに物申す!のコーナーが始まった訳だけどよ。
言いたいことなんてマウンテンあるわけよ。おわかり?

第1回は「氾濫するヤバイという表現」だ。

とにかくアーティストもリスナーも何かあるとヤバイ!と言う。
"ヤバイ=とても良い"というニュアンスは分かるけど、これってどうなの?
あまりにも容易かつ、短絡的に使われすぎてはいねーか?

アーティストが様々な思いを抱え、込めて作った作品に対して

「とてつもなくヤバイ作品です!」

の一言で済ますのはあまりにも忍びねーじゃねーか。
日本人に生まれて、多種多様な美しい表現があるのに
馬鹿のひとつ覚えみたいにヤバイ!ヤバイ!ってそりゃ子供で言えるって話だ。
子供が飛行機を見て「ヒコーキ!」、三面鏡を見て「コーキ!」って言うのと
同じだって話だ。まぁ、「コーキ!」といえれば大したもんだよ。

あぁ、大したもんだ。(遠くからパワーホールのテーマが)

つまりだ。そんないつまでも若者言葉を誰もが使っているから
ヒップホップという文化が知的なイメージを与えれずにメディアでも
ヤンキーの延長というレッテルを貼られ扱われるわけだ。


そんなメディアにもトペ・コンヒーロー!!


正直こんなことにはもう辟易するぜ。
ヤバイヤバイと言ってねーで、自分の感じた思いを言葉に変換しろよ。
一見さんが「ヤバイので聴いてください!」と言われて聴くのかよ?
その過程を省いて、良さを伝える努力をしねーから駄目なんだよ。

便利な言葉に頼って日本語を忘れた奴にはまじドロップキックだよ。


美しい日本語を使っていこうじゃねーか。


今度、ヤバイって言ってるやつが居たら"オレに言え"!


アディオス!



文:レイ・ミステリオ・フロウJr
2008.03.06 Thursday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(8) | -
本当に余計なお世話なのですが。
あまりこういう話題は触れるべきでないというか、まず自分の生活を心配すべきなのはわかっているのですが…。THE HELLOW WORKSの影月氏のレビューを読んでハッと感じたことです。

今、日本語ラップでメシを食っているヒトが、40代のオッサン、もっとオッサンになったとき、例えば加齢で声が出なくなってきたらラッパーはどうするのだろう。しかも現状でさえマーケットは小さいのに、今後どんどん若手がデビューしてきたら、ひとりあたりの収益はさらに減少するに違いない。
となると、今の少数の40代ならラップで飯が食えても、将来の大勢の40代までが飯を食えるとは限るまい。そしたら今までラップで飯が食えてたのに途中で食えなくなってきたら、どういう選択肢をとることになるのだろう。40代から新たに就ける仕事先など少なかろう。現在兼業で仕事などしながらラップしているヒトならそちらの仕事に移ることも可能だろうがそうでなければどうなるのだろう。サグライフに舞い戻るのだろうか。
日本国内においてラッパーが増えることは活性化の反面、実は将来に大きな影を落とすことにならないだろうか。

僭越ながら気になりました。

文:ミニマイザ
2008.03.05 Wednesday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(7) | -
覆面ライターの入場です


「大丈夫、日本語ラップの未来は暗くない!」

 誰かがそんなことを言っていた。2000年前後の軽いバブル時代を経て、飽和状態にあるこのシーンにおいて必要なことは? それはホンモノを見極める目だ!良いか、お前たちリスナーは勿論、俺たちもまた歯に衣着せぬ姿勢で良いものは良い!悪いものは悪い!と叩きつけなければならない。そんな皆の声が俺をこのリングへと押し上げた。

赤コーナーより"空中の魔術師 レイ・ミステリオ・フロウJr"の入場です!



チャラララー。チャララー。チャララー。チャッチャッチャー。


ハッシモト!ハッシモト!(会場大歓声)


チャラララー。チャララー。チャララー。チャッチャッチャー。


ハッシモト!ハッシモト!(会場大歓声)



 って馬鹿野郎!それは今は亡き破壊王のテーマじゃねーか!まぁ、しかし現状の日本語ラップシーンも一度壊す必要があるのかもしれない。その観点では同意しよう。覆面ライターとして今後、この魑魅魍魎が好き勝手やっているリング上で素晴らしい試合を見せようじゃないか。

 悪い流れにラ・ケブラーダ!腐った思考にトペ・スイシーダ!このレイ・ミステリオ・フロウJrがこの場を借りて、日本語ラップにメスという名のパイルドライバーを食らわしてやる!今日は、挨拶だけに止めておくが、次回からはビシバシいくから覚悟していろ!

アディオス!アミーゴ!



・PROFILE
リングネーム: レイ・ミステリオ・フロウJr
身長: 169cm
体重: 71kg
誕生日: 1980年12月11日(28歳)
出身地: ブロンクス
所属: COMPASS MAGAZINE
信念: 曲がった事が大嫌い



文:レイ・ミステリオ・フロウJr
2008.02.26 Tuesday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(2) | -
とある才能との出会い
先物買いは尊敬の眼差しを浴びれる。そんな卑しい気持ちでダイヤモンドの原石の様な未知のアーティストをDIGってる人は、あまり居ないと思うけどやっぱり見つければ嬉しいもの。例えそれが信頼出来る人達の選別作業の上に成り立ったアーティストで、それを横取り感覚で紹介しても悪い事ではないはず。だって、共有したいじゃない!そして1人でも多くの人達に聴いて欲しいって想いもあるし、何より良い意味でのネタはいつだって必要。

最近見つけた日本語ラップ関連を扱ってる凄いブログが2つあって、何とその2つのブログで同じ名前を絶賛していたんですよね。しかも全く聴いた事のない名前。頭の片隅に今日の面白そうなテレビ番組メモと共に置いといたんだけど、ちょっとだけ時間を置いてそのアーティストの作品を試聴をしてみたら、少しだけゾゾゾとした。良い音楽との素晴らしい出会い。鳥肌が立つ様な事は滅多にないけど、軽い痺れを感じた。これは、もしかするともしかするかも?という曖昧なニュアンスで一歩出遅れた先物買いをしようと思った。早く名前を言えって?

名前は小林大吾。どうやら一度は彼が参加した曲を聴いていたみたいだ(SUIKAの作品に参加)。新宿スポークン・ワーズ・スラム(SSWS)の年間グランドチャンピオンシップでタカツキに次いでの準優勝を果たしている。その後、日本語ラップシーンでは著名な古川耕氏の薦めでアルバム製作に取り掛かったとか。詩、トラック、ジャケットとアートワークを含め全要素を自らセルフプロデュースしたアーティスト感丸出しな人。タカツキやSUIKAのカラフルでセンシブルなジャケットも彼の仕業らしい。蜘蛛の糸の様な細い繋がりはこれまでリスナーという立場から持っていた事に驚きだが、楽曲のそれもまた新鮮だった。

志人、なのるなもない(降神)にも共通するであろうポエトリーの要素。ラップとの境界線が曖昧に見えるけど、その"ラップかどうか"という識別意識を排除させる力強さと言うのかな。この小林大吾にはそうした縛りのある音楽的観念から解き放ってくれるような魅力を持っている。深々と湧き上がる感情を乾いた質感で表現したトラック上で、ピョンピョンと言葉を跳ねさせて楽しんでる様。正直、スタンダードな位置からのヒップホップが離れ著しい僕にとっては格好の素材!何か良い音楽ないかなーっていう寄り道をしてる途中で「ああ、そうそうこういう逸れ方をしたかったんだよなぁ」って思わせるドンピシャな感じ。ただその瞬発的なフィーリングで、こんな文章を恥を忍んで書いています。この文章をネタ元の人が見るのかどうか、とても微妙な塩梅だとは思いますが、仕方ない奴だなっていう大人の目線でスルーして頂けると助かります。つい一時間前に出会った音楽をコラムに起こす図々しさはそこそこに、明日にでも小林大吾の作品を買いにタワレコに走って参ります。(まだ買ってなかったんかーい!)(インド人がナンを手から落とした。)

下記のページで試聴出来るのでどうぞ。

小林大吾のHP
http://www.wildpinocchio.com/

FLY N' SPIN RECORDSのMySpace
http://www.myspace.com/flynspinrecords


文:ヨウヘイ
2007.11.26 Monday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -
カンサイィィィ!の一体化現象
第十回:カンサイィィの一体化現象について
「カンサイィィィィ!」をあんなに一体感で包んだ大声で聴けるとは思わなかった。11月8日に行われたKREVAの"TOUR LIVE K-ing in なんばHatch"に2度行って来たけど、8割方が今時女子という客層で、軽くアイドル化された扱いに驚いた。その女子もKREVAが「カンサイィィィ!」と叫べば同様にレスポンスする訳である。この女子達に韻踏合組合のライブを見せて「カンサイィィィ!」を目の当たりにしたら「わー、KREVA様のパクってるわよ」となるのだろうか。そんな想像をしてしまった。

まぁ、しかしだ。一番好きなアーティストは?と聞かれたらKREVA!と答えてしまうくらいにボクはKREVAの事がずっと、ずっと、ずーっと大好きなんだからね!と気持ち悪くトランスフォームしてしまう。なんせKICK THE CAN CREWの頃に早くソロを出して!早く熱いソロを中で出して!って無理にハレンチに持っていく必要もないか。そんなKREVAを今回初めて生で体感した。しかも、都合で2回も通して拝んだ。自らラップスターなんて唄っちゃってたけど、パフォーマンスに関してはもう一級品です。規模の大きさから言って当然かもしれないが、歌詞を間違える事なんて無いし、噛む事もないし、音程を外す事も全くない。(そう感じた。)二週間のスパンを置いて2度目の観戦となっても、全く同じ映像を見てるかのような安定っぷり。合間のトークのネタまで基本的に一緒だという点にも気付いてしまったが。

またライブ内容が非常にタイトで3回程のトークを挟みながらも「よろしくお願いします」の楽曲全てに過去のシングルなどを交えながらの100分超。2時間越えがスタンダートかな?って勝手なイメージがあるが矢継ぎ早に展開される高速な展開なら当然か。また短い曲が多いせいもある。会場を包む熱いヴォルテージ。歌詞の口ずさみなんて当たり前、サビになると皆で大合唱。(アグレッシ部が特に凄い)そして2階指定席の人達まで一体となって盛り上がってるもんなー。こんなに盛り上がったライブはこれまで見た事がないかも。この盛り上がりをそのまま日本語ラップで体感出来たらこれ以上に幸せな事はないだろうなぁ。そんな事をシャンプーの良い香りがする女子に囲まれながらボクは思った。やっぱり、女子は良い。汗臭い男子ばかりに囲まれてちゃ精神的に良くない。良くない。女子の皆様、よろしくお願いします。


文:ヨウヘイ
2007.11.17 Saturday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -
フリースタイルバトル進化論
KREVAがB-BOY PARK MC BATTLEを3連覇した頃の映像をYOU TUBEで改めて見直していると酷く驚いた。思わず口をポカーンと開けてしまい、「これが決勝のバトルなの…?」という台詞が大きなフォントで頭の右上あたりに表示されていただろう。(想像上)当時からスタイルを確立していたKREVAに対して、その対戦相手の未完成な佇まい。そこにはただの服装であったり見た目を"まんま"ディスるというbay4kの名言も形無しの惨状であった。まだその内容は良いとしよう。(百歩譲って胡坐を掻きながら)敢えて名前は伏せるが、その時見た映像でのKREVAの対戦相手は困惑した表情で狼狽していた。間は空くわ、ライムは貧弱だわ、やっちゃった感丸出しなのである。彼を批難したい訳ではない。ただ単に2000年以前のフリースタイルバトルのレベルが現在2007年と比べるとあまりにも大差があるのだ。ボク達は耳が肥えてしまった。同時にバトルのレベルが大きく上がった。それは2002年 B-BOY PARK MC BATTLEの決勝戦、般若VS漢から紐解かれた新たなフリースタイルバトルの歴史の始まりによって確かに変わり始めたのだった。

KREVAの小節末で確実に丁寧にハッキリと踏むスタイルが過去の定番とすれば、漢から始まった高速なテンポの中で喋くりに近い言葉を込めながら要所、要所で踏んだりする昨今の流れ。聡明なCOMPASS読者でお気づきだろうが、そうした主流の変化と共にフリースタイルバトルの底上げの役割を果たしたのがダメレコを発端としてムーブメントを作ったサイファーである。どんな場所であれ、渋谷のハチ公前であれ、両親が真夜中に禁断の営みを続けている傍であれ、ラップという歌唱方法を覚えた人が数人集まればサイファーは始まる。一定のテンポでライミングを繰り返しながら、フリースタイル経験値を得る事が出来る。はぐれメタルを狙うようなジャンプアップではなく、スライムを倒して地味に経験値を稼ぐような、そんな修行方法。(皆が皆、その経験値をフリースタイルへ振り分けてはいないだろうが)

そこに満を持して登場したのが、奇しくも漢のLIBRA RECORDが主導となって全国で予選を行い真のフリースタイル王者を決めようという『ULTIMATE MC BATTLE 2005』(以下UMB)だ。無名であろうが矢沢永吉よろしく成り上がり可能なサバイバルトーナメント。全国のヘッズは歓喜し、自らを売り込む手段として躍起に参戦した。しかし、第一回の主な決勝進出者はすでに地方で知名度のある実力者と言っていいラッパーが勝ち上がった。(一部を除き)この時点では、すでにラッパーとしての総合的なスキルを積み上げていた熟練者と、若手のラッパーとの差が目に見えてあったのだ。その中で優勝したのはカルデラビスタ。しかも、前述の高速テンポにおけるバトルの先駆者である漢を、ある意味でKREVAの様なオールドスタイルに近い確実に小節末でタイトなライミングを発揮したカルデラビスタが打ち破ったのだ。明瞭でいて分かりやすいライミング、捻りの効いた返しなどが支持を得たのだろう。納得の優勝と言っていい。

その熱気は日本語ラップシーンに加速的に広がり、UMBの存在価値はバブル的に跳ね上がった。それまでライブ活動を経て音源をリリースし、そこで全国へアピールする基本的なプロセスを飛び越え、バトルで活躍→全国へアピールという図式が出来上がったのだ。世は正に戦国時代。マイクを武器に相手を薙ぎ倒す、そんな闘いが全国各地で小規模なフリースタイルバトルの大会で行われ、B-BOY PARKのMC BATTLEの先駆者的なプロップスは、UMBへと移り代わり、ダメレコ主催の『3on3』というチーム制の面白い大会まで生まれた。その流れを持ってフリースタイルのレベルは驚く程の進化を遂げ、底上げされる事となった。そして満を持して成熟した頃合に開催された昨年のUMB2006は、王者カルデラビスタ、韻踏合組合からHIDADDY、ICE BAHNからFORKといった名高いフリースタイル巧者が順当に決勝進出を果たす。しかし、一方で大半が全国的な音源アピールを経ていない若いラッパーが占める状態にボク自身不安を感じていた。

正直に言おう。一回戦で早々に行われたHIDADDY VS FORKという事実上決勝戦と言える名勝負はともかく、全体的な印象は物足りなさに尽きる。確かに皆上手い。初めて名前を見るラッパーも、決勝進出するだけあって一定のバトルクオリティを提供。大舞台でも思う存分に実力を発揮しており、その姿は勇敢そのものであった。しかし、後に残る余韻は「若くても上手い人が増えたな」という感情。勿論、フリースタイルが上手いのは最重要視される要素だが、バトルの成熟化によって同時に現在のバトルで"勝つ為に特化したスタイル"が浮き彫りになって、皆がそれに倣ったかの様な印象を受けてしまったのだ。観客の心象を鷲掴みにし、勝利へと導くプロセス。その到着点を同じベクトルにおいて同時に意識し、そこへ向かい続けた結果がUMB2006へと集約された様に思う。残念ながら、判定を下す観客達も同じ視点を見定め、その流れを助長したのではないだろうか。

この印象はボク自身の個人的なものだ。ヒップホップの定義、ヒップホップはこうあるべきだ!日本語ラップはこうすべきだ!なんて議論、討論がぶつかり合う事が日常茶飯事な自己主張の強い文化において、ひとつの答えが正しいとは思わない。だが、ボクはフリースタイルにしろヒップホップが原点となり生まれた道具であるなら、ラッパー自身の個性全てをぶつけ評価されるべきだと思う。ライミングだけではない。ビートに合わせた適応力の高いフロウは当然。(Coe-La-Canthの吉田のブービーの魅力はこの点に尽きる)それまでのラッパーとしてのバックボーンを血肉とした説得力さえも武器になる。今回、LUNCH TIME SPEAXのGOCCIがお世辞にも上手いとは言えないライミングを持ってしても、威圧感、存在感といったライミング以外の要素で勝ち上がった様に、生き様や滲み出る魅力すらもラップへ込めて吐き出す。そんなラッパー自身の魅力を評価すべきなんじゃないだろうか。

それならキャリアのあるヴェテラン勢を優先的に勝たせるのかよ!という極論も出てくると思うが、そこは勿論フリースタイルバトルという要素も備えた総合的なラッパーを支持したいというボクなりの意見である。何故ならそっちの方が面白いから。1VS1という性質上、格闘技に似た思いを馳せる人が多いと思う。PRIDEだって様々な経験をそのまま背負った者同士が真剣勝負をするからこそ、その背景に興奮して応援する。桜庭VSグレイシー一族といったドラマの様に何事にも勝負にはドラマが必要なのである。そのドラマを演出するのは個性だ。天下一武道会のような夢の組み合わせ。それこそ思い入れのあるラッパーがUMBの決勝に上がって一体どんな試合を見せてくれるのだろう?という期待感。今、KREVAがUMBに参戦したら?400戦無敗ヒクソン・グレイシーの様な神格化された伝説を背景としてKREVAが参戦すれば勝っても負けてもそれは物凄い話題になると思う。それが叶わぬ夢だとしても、熱狂的なファンは暖かみのある夢を持ち続ける。

そんな夢を同時に抱かせる魅力があるのがUMBだろう。他に追随を許さないフリースタイルバトルとしての一大重要イベント。まだ3年目と歴史の浅い大会ではあるが、今後何年も続けていけば無名の決勝進出者がポップシーンでブレイクする様な作品をリリースしているかもしれない。ハードコアなスタイルで日本語ラップシーンの救世主となるべく存在が生まれるかもしれない。毎年惜しい所まで進むも負けてしまうも名試合ばかりを残すK-1ジェロム・レ・バンナの様な面白い存在が現れるかもしれない。(HIDADDYにはそうならないで欲しいが)この「〜かもしれない」という言葉は夢の大きさと比例して、ファンが発する言霊そのものである。その言霊が増えれば増える程に、分厚い信頼となって名誉ある価値の高いイベントとなる。ボクはそんな期待を展望として交えながら今年のUMBに期待している。演出、審査方法など改善の余地はまだまだ残されていると思うが、主催であるライブラはその問題点を先日リリースされた『ULTIMATE MC BATTLE 2006 JAPAN TOURS ARCHIVE』内でもピックアップしている。何を基準に判定するのか。観客の声、審査員のセンス、または専門家の導入など、試行錯誤を繰り返す内にスタンダートと言える形が見えてくるはずだ。その過程も含め、フリースタイルバトルは共に進化して行くのだろう。期待と不安が入り混じる感情が、このような文章を書かせたのかもしれない。



文:ヨウヘイ
2007.10.08 Monday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(1) | -
SEEDAに始まる新たな広がり
-DeAの『Self-Expression』で注目を浴びた男が居る。今となっては日本語ラップシーンを牽引する存在とまでなったSEEDAである。バイリンガル特有の英語的な語感を持った素早いフロウは、それまでのバイリンガルラッパーとは毛色の違った個性を放っていた。そしてI-DeAとBACH LOGICというダブルプロデュースでリリースされた『GREEN』によって、それまでプロップスを得る事が出来なかったSEEDAの動きは大きく変わり始める。

SD JUNKSTAのDJ ISSOと共に企画された『CONCRETE GREEN』シリーズは、アーティストブログとして運営していた自身のブログと連動させ、全国からデモを募集。更には親しい身近の才能あるアーティストを多数参加させる事でストリートアルバムとしての価値を高め、ヘッズからの評判も上がり始める。この一連の動きは関東シーンを活性化させる要因ともなり、SEEDAを軸とした新たな才能の発掘に繋がり、その広がりは2007年になり一層強めている。

KREVAが日経エンタテイメント誌上で「お薦めの国内プロデューサー」として名を上げたBACH LOGICは勿論、全曲トータルプロデュースしたSEEDA『花と雨』を代表作として挙げられている。そのBACH LOGICを更に加速した存在として引き上げたのは、SEEDAであると僕は思っている。そして『CONCRETE GREEN』シリーズをきっかけに様々なアーティストが強い影響を受けている。SEEDAも所属していた(現在は脱退)SCARSのアルバムはBLAST AWARDS 2007においてベストアーティスト1位、ベストアルバム3位に位置づけている。記憶に新しいTVバラエティ『リンカーン』で美味しいところを掻っ攫ったbay4kもそのSCARSの一員だ。(ソロ作品を次々にリリース中)

更にはSEEDA周辺とも言えるべきアーティストのリリースが目立ち始めている。GEEK、SD JUNKSTAからNORIKIYO、TKCなど。年内にはSD JUNKSTAの他のメンバーのソロから、SD JUNKSTA本体のリリースも控えているらしい。そしてこれらの作品が次々に高い評価を得ている。僕自身も、最近聴いた作品の中でNORIKIYOとTKCのソロアルバムは、これまでの日本語ラップの流れからは少し逸脱した素晴らしい個性を感じた。

それはSEEDAにも共通する過去の経験を、前向きに溶かしたリリックの数々であったり、BACH LOGICのトラックを主軸に配置したアルバム構成など、総じてクオリティが非常に高い。これは結果論であり、現時点でまだまだ途中段階であると睨んではいるが、10月リリース予定のSEEDA『街風』におけるBOSS THE MC、KREVAといった早々たる面子とのコラボレーション。更にはメジャーリリースの意義と意味を「より多くの人に届ける」という高い意識の上で行ったSEEDAの広い視野での動きが新たな影響を生むのでないのかと、非常にわくわくしている。去年同様に、今年も彼ら中心となってシーンを掻き回す。そんな絵を思い浮かべるだけで、"日本語ラップシーンの未来"という名の炎がメラメラと燃え上がる気がしてならない。あー楽しみだ。


文:ヨウヘイ
2007.09.17 Monday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -
BUDDHA BRANDとの遭遇
このCOMPASSを見ている人でも日本語ラップは大好きだけど、現場へあまり出向かない人が居ると思う。居るという前提で書かせてもらいます。僕もその1人でした。たまに有名アーティストのツアーライブに顔を出すくらいでクラブに対しては抵抗があった。一体どんな雰囲気なのか。ロボコップのような黒人が本当に立っているのか。そのロボコップを倒せば勇者の称号を得る事が出来るのか。一歩、距離を置いた音源上での世界とは確実に大きな隔たりを感じるクラブ事情。

COMPASSに関わり始めてからクラブへ行く機会が増え、そこで感じた事。こと大阪はアメ村のクラブシーンという限定の話になってしまうし、それも極一部の体験の個人的な感想。(前置きが無いと怖いヨ!)まずクラブ文化から発生したであろう日本語ラップという媒体との連結性が意外に低い事に驚く。DJタイムで流れる洋楽は勿論の事、LIVEとしての扱いも決して大きくはない。イベントによっては日本語ラップの比重が大きいものもあるが基本的には比重が低い。このバランスが低いので日本語ラップ目当てで、更に1人で行ってみたものなら待ち時間の長さに疲れ果て、爆音に耳をやられ、喉に大量の煙が侵入してくる。何よりオールナイトのイベントがメインなので朝帰り決定。嗚呼、辛い…。

そういった一見さんへのハードルが非常に高くて、馴染むまでにも時間がかかる。知り合いが多い、洋楽知識に長けている、何より踊るのが大好き!夜遊び大好き!お酒大好き!っていう素質があれば何も壁を感じる事なく楽しむ事が出来るんだろうけど、純粋な日本語ラップへの興味でクラブに足を運ぶ人にとっては、どれも気軽に越えれるハードルではない。

更にライブ目当てで足を運んでみてもアーティストの散らばり具合が目立つ。10以上はあるであろうクラブの中で、連休前であったり大きなイベントが重なると出演アーティストがばらける。そこまで頭数が足りてる様には思えないし、名前で客を呼べるアーティストがある程度固まってくれていたら、もっと飛びつきそうなものなのに。様々な事情、背景があるのは分かるけど、クラブをはしごして少しずつライブ楽しんで、それぞれに入場料を払ったりする人も珍しくない訳で、大阪の日本語ラップシーンを楽しもうと思う人々に対してあまりに非効率的な動きが求められる現状。

CLUB AZUREで毎月開催されている韻踏合組合主催の『ENTER』というイベントがあるが、序盤のフリースタイルバトルを始め、毎回熱いゲストを呼んでおり、DJタイムに関しても日本語ラップが適度な頻度で流れたりと非常に間口の広い良いイベントである。このような日本語ラップ好きが楽しめる、日本語ラップ比重の大きいイベントが増えれば良いのに、朝方の地下鉄御堂筋線に乗りながらぼんやりとよく考える。朝日が眩しい。だけど、満足感を得たオールナイト明けの帰り道は決して足取りは重くない。


文:ヨウヘイ
2007.08.27 Monday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -
大阪のクラブシーン事情
このCOMPASSを見ている人でも日本語ラップは大好きだけど、現場へあまり出向かない人が居ると思う。居るという前提で書かせてもらいます。僕もその1人でした。たまに有名アーティストのツアーライブに顔を出すくらいでクラブに対しては抵抗があった。一体どんな雰囲気なのか。ロボコップのような黒人が本当に立っているのか。そのロボコップを倒せば勇者の称号を得る事が出来るのか。一歩、距離を置いた音源上での世界とは確実に大きな隔たりを感じるクラブ事情。

COMPASSに関わり始めてからクラブへ行く機会が増え、そこで感じた事。こと大阪はアメ村のクラブシーンという限定の話になってしまうし、それも極一部の体験の個人的な感想。(前置きが無いと怖いヨ!)まずクラブ文化から発生したであろう日本語ラップという媒体との連結性が意外に低い事に驚く。DJタイムで流れる洋楽は勿論の事、LIVEとしての扱いも決して大きくはない。イベントによっては日本語ラップの比重が大きいものもあるが基本的には比重が低い。このバランスが低いので日本語ラップ目当てで、更に1人で行ってみたものなら待ち時間の長さに疲れ果て、爆音に耳をやられ、喉に大量の煙が侵入してくる。何よりオールナイトのイベントがメインなので朝帰り決定。嗚呼、辛い…。

そういった一見さんへのハードルが非常に高くて、馴染むまでにも時間がかかる。知り合いが多い、洋楽知識に長けている、何より踊るのが大好き!夜遊び大好き!お酒大好き!っていう素質があれば何も壁を感じる事なく楽しむ事が出来るんだろうけど、純粋な日本語ラップへの興味でクラブに足を運ぶ人にとっては、どれも気軽に越えれるハードルではない。

更にライブ目当てで足を運んでみてもアーティストの散らばり具合が目立つ。10以上はあるであろうクラブの中で、連休前であったり大きなイベントが重なると出演アーティストがばらける。そこまで頭数が足りてる様には思えないし、名前で客を呼べるアーティストがある程度固まってくれていたら、もっと飛びつきそうなものなのに。様々な事情、背景があるのは分かるけど、クラブをはしごして少しずつライブ楽しんで、それぞれに入場料を払ったりする人も珍しくない訳で、大阪の日本語ラップシーンを楽しもうと思う人々に対してあまりに非効率的な動きが求められる現状。

CLUB AZUREで毎月開催されている韻踏合組合主催の『ENTER』というイベントがあるが、序盤のフリースタイルバトルを始め、毎回熱いゲストを呼んでおり、DJタイムに関しても日本語ラップが適度な頻度で流れたりと非常に間口の広い良いイベントである。このような日本語ラップ好きが楽しめる、日本語ラップ比重の大きいイベントが増えれば良いのに、朝方の地下鉄御堂筋線に乗りながらぼんやりとよく考える。朝日が眩しい。だけど、満足感を得たオールナイト明けの帰り道は決して足取りは重くない。


文:ヨウヘイ
2007.07.27 Friday | ハレンチ☆日本語ラップ学園 | comments(0) | -